業績
2018/06/01

第92回日本感染症学会学術講演会

主催 日本感染症学会
メンバー 會田 哲朗
内容 マネージメントに苦慮したMRSA硬膜外膿瘍の一例 【症例】尋常性天疱瘡にて皮膚科入院でステロイド内服中の79歳男性 【現病歴】紹介1ヶ月半前、発熱、安静時背部痛、多発蜂窩織炎が出現し血液培養よりMRSAが検出されバンコマイシンが10日間使用された。1ヶ月前に感染後糸球体腎炎を発症しバンコマイシンが再開となったが、血液培養で再度MRSA検出されダプトマイシン(DAP)へ変更後も発熱続くため当科紹介となった。 【経過】体動時の背部痛があり脊椎MRIを施行したところ、胸椎硬膜外膿瘍、化膿性脊椎炎を認めた。血液培養再検にてDAP耐性のMRSAが検出され、経食道心臓エコーでは大動脈弁逆流と弁尖肥厚のみを認めたが、感染性心内膜炎、胸椎硬膜外膿瘍、化膿性脊椎炎と診断し抗菌薬をリネゾリド(LZD)に変更した。その後両下肢の筋力低下が出現したため整形外科紹介し3日後に緊急椎弓切除術がなされた。LZDは副作用のため計7週間で中止した。しかし中止後1週間で腰痛、発熱が出現し、血液培養よりMRSAが検出された。MRIにて硬膜外膿瘍の増悪を認めた。LZDを再開し、整形外科にて病変部ドレナージ、胸椎前方固定術が施行された。 【考察】硬膜外膿瘍は早期の除圧、ドレナージが予後を改善する。特に糖尿病、CRP・白血球高値、菌血症、MRSA感染症、65歳以上、神経症状の存在は内科的治療失敗のリスクとされる。本症例はリスクを多数持つため積極的な早期ドレナージが必要であった。
日程 2018/06/01
場所 岡山コンベンションセンター